研究内容
米国とオランダで別々に行われた二つの疫学研究が同じ結果になったと、
米国の著名な医学誌2004年5月13日号に同時掲載された。
(アメリカ)
血中ホモシステイン量が最も多いグループは、血中ホモシステイン量が最も少ないグループと比べて、
男性で4倍、女性では1.9倍、骨折リスクが高い
(オランダ-ロッテルダム研究とアムステルダム縦断加齢研究)
55歳以上の、合わせて2406人分のデータに対して、米国の研究と同様の分析を行った
血中ホモシステイン量が最も多いグループは、最も少ないグループより、1.9倍骨折しやすいことが判明
この研究では、骨折の原因一位「加齢」(75歳以上)31%、二位「転びやすさ」20%、三位血中ホモシステインが高い19%
一般に骨折の要因として重要だと考えられている「低い骨密度」は13%と、ホモシステインよりも影響度が小さい。
さらに、骨の折れやすさの指標になる「骨密度」と、
血中ホモシステイン量とは無関係であることもわかった。
ホモシステインとは
・メチオニンというアミノ酸が肝臓で働くときに作られる。
ビタミンB群の葉酸とビタミンB12は、このホモシステインを再びメチオニンに戻す。
ビタミンB6が十分にあると、ホモシステインはシステインという別の物質に変わる。
逆に、ビタミンB群が不足していると、本来は一時的な産物であるホモシステインが、
体内でどんどん増えてしまう。
・動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞などのリスクを増やすことで知られている
・コラーゲンという繊維状のたんぱく質が網目構造を作るのを阻害する
※骨の中でも大腿骨頚部や手首などでは、この「コラーゲンの網目構造」が、 骨の強さを保つために欠かせないため
ホモシステインが多いと骨折リスクが高まるのは、これが原因ではないかと、 両研究グループは考えている。
つまり、 ホモシステインが多い人は、骨折しやすい 骨密度を増やす薬を使うより、ビタミンB群サプリでホモシステインを減らしたほうが、骨折の予防効果が高い可能性がある。
ビタミンB群が骨折の予防にどれくらい役に立つか、今後の研究に注目
食品
【ビタミンB6】 補酵素(酵素の働きを助ける成分)として多くのアミノ酸の代謝を助けています。免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成などの生理作用もあり、脂質の代謝にも関与しています。 不足すると、皮膚炎、舌炎、口内炎、口角症、貧血、リンパ球減少症になります。また、成人の場合は、うつ状態、錯乱、脳波異常、痙攣発作など神経系に異常が起こることもあります。とくに抗生物質を長期間投与された患者などでは欠乏症になる恐れが指摘されており、注意が必要です。 一方、大量に摂取した場合は、感覚性ニューロパシー(感覚神経障害)が起こりますが、通常の食事からの摂取ではまず過剰症の心配はいらない
推奨量1.2mg/日 (100gあたり) 魚介…びんなが0.94ml、かつお0.76ml、ごまさば0.65ml、しろさけ0.64ml、 かたくちいわし0.58ml 野菜0.58ししとう0.39mg、あさつき0.36mg、モロヘイヤ0.39mg、 切干し大根0.27mg、ブロッコリー0.26mg、西洋かぼちゃ0.22mg 穀類…五穀米0.24mg、玄米0.21mg、ライ麦パン0.09mg、 白米・マカロニ・スパゲティ0.02mg
種実…ごま0.64mg、いりごま0.46mg、栗0.27mg
【ビタミンB12】
食品中のビタミンB12はたんぱく質と結合しており、胃の中でたんぱく質が変性・分解されると、遊離のビタミンB12になります。ビタミンB12は補酵素としてたんぱく質や核酸の生合成、アミノ酸や脂肪酸の代謝に関与しています。また、赤血球の成熟に関与し、葉酸とともに骨髄で正常な赤血球をつくります。 腸内細菌によっても合成されるので、一般に欠乏することはないと考えられます。しかし、ビタミンB12は胃から分泌される内因子と結合して小腸から吸収されるため、胃全摘手術をした人では、内因子が不足しビタミンB12が吸収されず欠乏する恐れがあります。
ビタミンB12が不足すると造血作用がうまく働かず、巨赤芽球性貧血になります。また、脊髄や脳の白質障害、末梢神経障害が起こり、しびれや知覚異常の症状として現れます。
推奨量2.0mg/日
(100gあたり) 魚介…しじみ68.4ml、あさり52.4ml、牡蠣28.1ml、にしん17.4ml、 いわし15.7ml、さんま15.4ml 藻類…味付け海苔58.1ml、焼き海苔57.6ml、あおさ1.3ml、わかめ0.3ml
肉類…牛レバー52.8ml、鶏レバー44.4ml、豚レバー25.2ml、牛赤身肉2.4ml
葉酸
ほうれん草から発見されたビタミンです。日本語で「葉酸」と名付けられた
ビタミンB群の一つです。赤血球の形成を助ける働きや、胎児の正常な発育をサポートする働きがあり、カラダにとって大切な役割を担っています。
通常の食品以外(サプリメントや強化食品)の食品からの摂取の場合、耐容上限量も定められています。葉酸を含むサプリメントや、強化食品を過剰に摂取することで、健康障害が起こる可能性があるため、注意が必要です。
えだまめ:320㎍(ゆで:260㎍)
モロヘイヤ:250㎍(ゆで:67㎍)
干し椎茸:240㎍(ゆで:44㎍)
パセリ:220㎍
ほうれん草:210㎍(ゆで:110㎍)
アスパラガス:190㎍(ゆで:180㎍)

Comments