酵素を一言で言うと、「生命維持に必要な新陳代謝の主役」です。 生物体は、主に水素、酸素、炭素、窒素などの元素で構成されており、人体の細胞内では休むことなく原子や分子の組み換えが行われています。この新陳代謝と呼ばれる生化学反応を司っているのが酵素で、その働きによって生命が維持されています。 炭水化物を分解する時にはアミラーゼ脂肪はリパーゼと言う消化酵素が担当するというように、常に働く役割が1つに決められています。これを「反応特異性」と言います。
生体内の酵素は、洗剤に含まれている酵素のように単なる科学的な触媒ではありません。栄養素を体内に取り込み、生体の構成に必要な物質を生成したり、エネルギーを抽出したり、或いは不要となった物質の排泄、成長や増殖といった生命現象全般に不可欠な労働力を提供している物質です。しかもほぼ中性のPh、37℃前後の水中で、極めて短時間に反応を生じさせるという特徴があります。 食物酵素概念は、アメリカの医師エドワード・ハウエル博士が長年にわたる研究の結果考え出された概念です。人間の体内で産生する酵素は「体内酵素」、人体以外の生物に存在する酵素を「体外酵素」と言います。消化管内は「内なる外」であるため、腸管に住み着いている常在細菌が産生する酵素も「対外酵素」に分類されます。
生の食べ物に含まれている酵素は「食物酵素」と呼ばれこれも「対外酵素」ですが、健康維持や病気の回復に最も重要な働きをする物質です。
「体内酵素」は大きく二つに分けられます。
消化酵素
「消化酵素」は食物に含まれる三大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂肪)を、補酵素の協力のもと腸壁から吸収できるように小さな分子まで切り分ける作業をします。
代謝酵素
「代謝酵素」は腸壁で吸収された栄養分子をエネルギーに変えるなどの働きをし、人間の生命活動においてありとあらゆる生化学反応の原動力になります。
細胞の中には無数の酵素が存在し、代謝作業と消化作業に休む間もなく従事しています。
その細胞にある酵素を潜在酵素と呼びますが、その酵素量(生産量)は年齢と共に減少していきます。
「食物酵素」・「消化酵素」と「代謝酵素」の関係
消化酵素を浪費しなければ体内の代謝作業がスムーズに行われます。消化酵素を使い過ぎた時には代謝酵素が不足し、病気になりやすかったり老化が進んだりします。
体内の代謝機能を円滑にさせる為には消化酵素の分泌を最小限にとどめ、代謝酵素を十分に確保する必要があります。生の食物に含まれる食物酵素は、自己消化をしてくれるため体内の消化酵素を節約できます。しかし、食物酵素が代謝酵素として働くことはありません。 人体を構成する約100兆個の細胞の中には、およそ80億分子のたんぱく質が存在すると言われています。原子や分子の組み換えをする化学反応は毎秒数万回に及び、それを触媒作用で主動する酵素は生命そのものと言っても過言ではないと思います。
酵素の製造能力が生命維持に必要な量を下回った場合、生命は活動を停止します。 新鮮な生の食物には多くの酵素が含まれており、ハウエル博士は「食物酵素」とよびました。ヒトが摂取した場合口での咀嚼中や胃の噴門に近い部分で胃酸の分泌が少ない間は、摂取した食物を自分の食物酵素で消化できると考えられます。従って食物酵素を摂取しますと自らが分泌する消化酵素を少量にすることができますので、その分代謝酵素として利用できる量が増し病気治し等その他の生命活動に活用できると思われます。
加工食品や加熱調理して食物酵素の失われた食品を多食しますと全て体内で生産する酵素が消化を担当しなければならなくなり、代謝酵素として利用できる量が減少して体調不良につながる可能性が増します。これが、多くの生活習慣病の引き金になると考えられます。
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